書籍(単著)が2022年6月25日、刊行されました。
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日本農業はどうあるべきか? どう考えていけばよいのか?
科学性を確保せんがため「~すべき」という当為命題を排することで独断主義と相対主義の隘路に陥っている農業経済学の現状と正面から対峙。主観、当為を扱うことを可能とする考え方として、現象学に依拠した人間科学の導入を提案し、〈考えていくための考え方〉を基礎づける。
科学性を確保せんがため「~すべき」という当為命題を排することで独断主義と相対主義の隘路に陥っている農業経済学の現状と正面から対峙。主観、当為を扱うことを可能とする考え方として、現象学に依拠した人間科学の導入を提案し、〈考えていくための考え方〉を基礎づける。
書籍情報
書籍名:現代日本農業論考―存在と当為、日本の農業経済学の科学性、農業経済学への人間科学の導入、食料自給力指標の罠、飼料用米問題、条件不利地域論の欠陥、そして湿田問題―
著 者:小川真如
出版社:春風社
ISBN : 978-4861107887
著 者:小川真如
出版社:春風社
ISBN : 978-4861107887
構成
献辞
序論 現代日本農業における技術論の再興と農業経済学の転回に向けた試み
第一章 技術・経済・農業 ― 現代日本農業における「技術」の位置づけの再設定に向けて
第一節 本書の構成
第二節 技術論という未解決問題
第三節 人間の主体性を扱いきれなかった農業技術論
第四節 「存在」(である)と「当為」(すべき)をめぐる葛藤と日本の農業経済学
第五節 農業の意味と価値、そして当為 ― 現代日本農業の意味と価値が乱立している理由
第二章 農業経済学に人間科学を導入する必要性とその方法 ― 「農」の多様化に学問として対応する方法
第一節 人間科学とは何か、そしてその意義 ― フッサール現象学により解決される問題
第二節 難しくない分析方法 ― 農業経済学における新たな手法の提案
第三節 分析方法の独自性 ― 実証主義批判への弁解
第四節 那須皓、柏祐賢の農学論の限界 ― フッサールとリッケルトの対比
第五節 筆者の提案する新たな考え方の特徴についての補足 ― 祖田修の農学論、および柏久や神門善久による日本の農業経済学界批判に対する筆者の見解
第六節 求められる人間科学の視点 ― 国際秩序下の農業技術、水田利用再編主体としての農業再生協議会
第三章 人口減少社会における農業技術 ― 農地が余る転換点の到来と、食料自給力指標の罠
第一節 人口と農業技術
第二節 人口減少下の農地と農業技術 ― 転換点Pの到来によって出現する領域X
第三節 多様化する日本農業の最後の結束点としての食料安全保障 ― 二〇二〇年食料・農業・農村基本計画の注目すべきポイント
第四節 食料自給力指標の罠 ― 食料安全保障論によって遮蔽される領域Xの議論
第五節 戦略的な技術指針の必要性 ― 求められるのは領域Xを見据えた方針
第六節 モデルへの自己批判と反批判
第四章 なぜ飼料用米を取り上げるのか ― 「飼料用米問題」とは何か
第一節 飼料用米とは何か
第二節 〈米の飼料利用〉と〈飼料用米の飼料利用〉 ― ベン図を用いた概念の整理
第三節 〈米の飼料利用〉に関する統計データの不足
第四節 〈米の飼料利用〉と〈飼料用米の飼料利用〉でみえてくる飼料用米問題の一端
第五節 フラスコの中の飼料用米 ― 飼料用米の仮初め的性格と自己準拠的性格
第六節 飼料用米問題 ― 飼料用米はいかにして存在するか、そして存在を規定する当為命題
第五章 〈〔研究対象―論文―学者―謝辞〕の入れ子構造〉をめぐる論考 ― 本書の謝辞
第一節 本書の途中に謝辞を配置する理由
第二節 本論考の経緯
第三節 〈飼料用米をめぐる入れ子構造〉
第四節 〈〔研究対象-論文-学者-謝辞〕の入れ子構造〉
第五節 前著『構造』と本書、それぞれの特徴
第六節 お世話になった方々
第六章 新釈:角田重三郎の飼料用米論 ― 植物育種学者・角田重三郎博士が飼料用米を研究した理由とは何か
第一節 飼料用米研究における先駆者としての位置
第二節 米の過剰問題の元凶としての内省と飼料用米研究の発端 ― 多収性の追求という当為の自覚
第三節 角田構想とその特徴 ― 水田における米のフル生産のために提案された飼料用米
第四節 角田の飼料用米論の展開 ― 貿易問題に対する反論と「新みずほの国」構想
第五節 イネ科植物と人類のかかわりに着目した社会形成の提示 ― 共生関係に基づく社会システムの構想
第六節 角田の飼料用米論の核心と限界 ― 単収向上によって使われなくなる水田の利用方策としての飼料用米、そして需要量に関する手抜かり
第七章 飼料用米をめぐる群像 ― 〈代替性〉と〈土地条件〉、二つのキーワードで読み解く飼料用米論
第一節 飼料用米の生産適地はどこか ― 共通了解が成立しているようで成立していない〈土地利用の代替性〉に関する領域
第二節 畑作が困難な田の存在から想起された飼料用米像 ― 飼料用米の提起・研究の原動力であった湿田の存在
第三節 エサ米運動の帰結 ― 湿田対策で生まれ、湿田対策で消えていった論調
第四節 水田フル活用における飼料用米 ― 二〇一三年度から二〇一四年度にかけて変質した水田フル活用政策
第五節 飼料用米の存在に関する本書の結論 ― 〈代替性〉、〈土地条件〉についての共通了解を育む
第六節 〈代替性〉、〈土地条件〉で読み解く飼料用米問題 ― 飼料用米をめぐる混乱の具体的な解消方法
第八章 現行の飼料用米政策の特徴 ― 飼料用米の「量的拡大論」と「面的拡大論」からみえてくる現行政策の特殊性
第一節 飼料用米の増産目標がもつ意味 ― 求められるのは単なる運動論との決別
第二節 量的拡大論の台頭とその問題点 ― 数量払い政策が捨象したこととは何か
第三節 量的拡大論に与す数量払い政策 ― 飼料用米政策は単なる飼料生産政策へ
第四節 水田フル活用政策の変質とその結果 ― 二〇一四年度を画期とした政策変更がもたらしたこと
第五節 数量払い政策がもつ選別政策としての性格 ― 標準単収値問題を提起する
第六節 水田活用の直接支払交付金における水張り要件の影響 ― 二〇二二年度の政策変更の影響
第九章 現行の飼料用米政策の問題点と改善策 ― 飼料用米政策が批判されるべき点、そして、新たな政策の提案
第一節 飼料を確保するための政策という傾向の強まりと財政負担のムダ
第二節 〈単収向上による財政負担軽減〉という思考に抜け落ちているもの ― 単収向上の「能書き」を考える
第三節 飼料用米政策にみる存在と当為 ― 単収問題と農業経済学者のしごと
第四節 新たな飼料用米政策の提案 ― 飼料用米問題、代替性、単収問題からの提言
第一〇章 条件不利地域論の欠陥と湿田―見落とされてきた条件不利性
第一節 湿田という条件不利性 ― 条件不利地域論の対象であるはずの湿田
第二節 主観と湿田 ― 〈湿田〉の認識構造
第三節 食料自給力指標の誤りの指摘と修正要求 ― 湿田の把握をめぐって
第四節 条件不利地域論の着眼点の基底 ― 湿田に着目しない論理
第五節 条件不利地域論の欠陥 ― 湿田はいかにして捨象されたか
第六節 条件不利地域論の欠陥からみた中山間地域等直接支払制度の特徴
第七節 低米価時代に増幅する条件不利性 ― 稲作に頼らざるを得ない湿田
第八節 条件不利地域と飼料用水稲 ― 手厚い補助金でも生産されない飼料用水稲
第九節 日本農業における条件不利地域論の将来予想
第一一章 農業・農村の多面的機能をめぐる政策は誰に利するか ― 湿田問題の本質
第一節 農業・農村の多面的機能論をめぐる冒険
第二節 〝水田の多面的機能〟という〈錦の御旗〉と日本農業 ― そこにある搾取の構造
第三節 〝稲作にしか向かない〟という〈免罪符〉と日本農業 ― そこにある搾取の構造
第四節 湿田問題の本質的構造 ― 乾田化・汎用化、田の畑地化では解決できない根本的な問題とは何か
第五節 本章の留意点
第一二章 総括 ― 各章の大要と趣旨、そして農業経済学者が農業技術を論じる意義
第一節 一つ目の総括
第二節 二つ目の総括がある理由
第三節 二つ目の総括
第四節 日本の農業経済学の発展に向けて
初出文献一覧
人名索引
事項索引
英文要旨
序論 現代日本農業における技術論の再興と農業経済学の転回に向けた試み
第一章 技術・経済・農業 ― 現代日本農業における「技術」の位置づけの再設定に向けて
第一節 本書の構成
第二節 技術論という未解決問題
第三節 人間の主体性を扱いきれなかった農業技術論
第四節 「存在」(である)と「当為」(すべき)をめぐる葛藤と日本の農業経済学
第五節 農業の意味と価値、そして当為 ― 現代日本農業の意味と価値が乱立している理由
第二章 農業経済学に人間科学を導入する必要性とその方法 ― 「農」の多様化に学問として対応する方法
第一節 人間科学とは何か、そしてその意義 ― フッサール現象学により解決される問題
第二節 難しくない分析方法 ― 農業経済学における新たな手法の提案
第三節 分析方法の独自性 ― 実証主義批判への弁解
第四節 那須皓、柏祐賢の農学論の限界 ― フッサールとリッケルトの対比
第五節 筆者の提案する新たな考え方の特徴についての補足 ― 祖田修の農学論、および柏久や神門善久による日本の農業経済学界批判に対する筆者の見解
第六節 求められる人間科学の視点 ― 国際秩序下の農業技術、水田利用再編主体としての農業再生協議会
第三章 人口減少社会における農業技術 ― 農地が余る転換点の到来と、食料自給力指標の罠
第一節 人口と農業技術
第二節 人口減少下の農地と農業技術 ― 転換点Pの到来によって出現する領域X
第三節 多様化する日本農業の最後の結束点としての食料安全保障 ― 二〇二〇年食料・農業・農村基本計画の注目すべきポイント
第四節 食料自給力指標の罠 ― 食料安全保障論によって遮蔽される領域Xの議論
第五節 戦略的な技術指針の必要性 ― 求められるのは領域Xを見据えた方針
第六節 モデルへの自己批判と反批判
第四章 なぜ飼料用米を取り上げるのか ― 「飼料用米問題」とは何か
第一節 飼料用米とは何か
第二節 〈米の飼料利用〉と〈飼料用米の飼料利用〉 ― ベン図を用いた概念の整理
第三節 〈米の飼料利用〉に関する統計データの不足
第四節 〈米の飼料利用〉と〈飼料用米の飼料利用〉でみえてくる飼料用米問題の一端
第五節 フラスコの中の飼料用米 ― 飼料用米の仮初め的性格と自己準拠的性格
第六節 飼料用米問題 ― 飼料用米はいかにして存在するか、そして存在を規定する当為命題
第五章 〈〔研究対象―論文―学者―謝辞〕の入れ子構造〉をめぐる論考 ― 本書の謝辞
第一節 本書の途中に謝辞を配置する理由
第二節 本論考の経緯
第三節 〈飼料用米をめぐる入れ子構造〉
第四節 〈〔研究対象-論文-学者-謝辞〕の入れ子構造〉
第五節 前著『構造』と本書、それぞれの特徴
第六節 お世話になった方々
第六章 新釈:角田重三郎の飼料用米論 ― 植物育種学者・角田重三郎博士が飼料用米を研究した理由とは何か
第一節 飼料用米研究における先駆者としての位置
第二節 米の過剰問題の元凶としての内省と飼料用米研究の発端 ― 多収性の追求という当為の自覚
第三節 角田構想とその特徴 ― 水田における米のフル生産のために提案された飼料用米
第四節 角田の飼料用米論の展開 ― 貿易問題に対する反論と「新みずほの国」構想
第五節 イネ科植物と人類のかかわりに着目した社会形成の提示 ― 共生関係に基づく社会システムの構想
第六節 角田の飼料用米論の核心と限界 ― 単収向上によって使われなくなる水田の利用方策としての飼料用米、そして需要量に関する手抜かり
第七章 飼料用米をめぐる群像 ― 〈代替性〉と〈土地条件〉、二つのキーワードで読み解く飼料用米論
第一節 飼料用米の生産適地はどこか ― 共通了解が成立しているようで成立していない〈土地利用の代替性〉に関する領域
第二節 畑作が困難な田の存在から想起された飼料用米像 ― 飼料用米の提起・研究の原動力であった湿田の存在
第三節 エサ米運動の帰結 ― 湿田対策で生まれ、湿田対策で消えていった論調
第四節 水田フル活用における飼料用米 ― 二〇一三年度から二〇一四年度にかけて変質した水田フル活用政策
第五節 飼料用米の存在に関する本書の結論 ― 〈代替性〉、〈土地条件〉についての共通了解を育む
第六節 〈代替性〉、〈土地条件〉で読み解く飼料用米問題 ― 飼料用米をめぐる混乱の具体的な解消方法
第八章 現行の飼料用米政策の特徴 ― 飼料用米の「量的拡大論」と「面的拡大論」からみえてくる現行政策の特殊性
第一節 飼料用米の増産目標がもつ意味 ― 求められるのは単なる運動論との決別
第二節 量的拡大論の台頭とその問題点 ― 数量払い政策が捨象したこととは何か
第三節 量的拡大論に与す数量払い政策 ― 飼料用米政策は単なる飼料生産政策へ
第四節 水田フル活用政策の変質とその結果 ― 二〇一四年度を画期とした政策変更がもたらしたこと
第五節 数量払い政策がもつ選別政策としての性格 ― 標準単収値問題を提起する
第六節 水田活用の直接支払交付金における水張り要件の影響 ― 二〇二二年度の政策変更の影響
第九章 現行の飼料用米政策の問題点と改善策 ― 飼料用米政策が批判されるべき点、そして、新たな政策の提案
第一節 飼料を確保するための政策という傾向の強まりと財政負担のムダ
第二節 〈単収向上による財政負担軽減〉という思考に抜け落ちているもの ― 単収向上の「能書き」を考える
第三節 飼料用米政策にみる存在と当為 ― 単収問題と農業経済学者のしごと
第四節 新たな飼料用米政策の提案 ― 飼料用米問題、代替性、単収問題からの提言
第一〇章 条件不利地域論の欠陥と湿田―見落とされてきた条件不利性
第一節 湿田という条件不利性 ― 条件不利地域論の対象であるはずの湿田
第二節 主観と湿田 ― 〈湿田〉の認識構造
第三節 食料自給力指標の誤りの指摘と修正要求 ― 湿田の把握をめぐって
第四節 条件不利地域論の着眼点の基底 ― 湿田に着目しない論理
第五節 条件不利地域論の欠陥 ― 湿田はいかにして捨象されたか
第六節 条件不利地域論の欠陥からみた中山間地域等直接支払制度の特徴
第七節 低米価時代に増幅する条件不利性 ― 稲作に頼らざるを得ない湿田
第八節 条件不利地域と飼料用水稲 ― 手厚い補助金でも生産されない飼料用水稲
第九節 日本農業における条件不利地域論の将来予想
第一一章 農業・農村の多面的機能をめぐる政策は誰に利するか ― 湿田問題の本質
第一節 農業・農村の多面的機能論をめぐる冒険
第二節 〝水田の多面的機能〟という〈錦の御旗〉と日本農業 ― そこにある搾取の構造
第三節 〝稲作にしか向かない〟という〈免罪符〉と日本農業 ― そこにある搾取の構造
第四節 湿田問題の本質的構造 ― 乾田化・汎用化、田の畑地化では解決できない根本的な問題とは何か
第五節 本章の留意点
第一二章 総括 ― 各章の大要と趣旨、そして農業経済学者が農業技術を論じる意義
第一節 一つ目の総括
第二節 二つ目の総括がある理由
第三節 二つ目の総括
第四節 日本の農業経済学の発展に向けて
初出文献一覧
人名索引
事項索引
英文要旨