水稲の飼料利用の展開構造に関する書籍が刊行されました

書籍(単著)が2017年7月25日、刊行されました。

 

本書では、近年国内で生産が急拡大している飼料用水稲を取り上げて、現代日本農村における「水稲の飼料利用の展開構造」を明らかにしました。客観性に関する既往研究を参考に、水稲の飼料利用や飼料用水稲をめぐる従来の議論・研究の茫洋さ・困難さを指摘するとともに、解決策の一つとして、政府が掲げる飼料用米・稲発酵粗飼料用稲のあるべき姿を所与とせず、課題に接近しました。従来の飼料用水稲をめぐる研究において、土地条件あるいは土地利用様態に関しては、共通了解が必ずしも成立していないことを指摘した上で、国際比較や事例分析、考察を行いました。分析結果から、農地活用における飼料用水稲の殿的位置付けが明らかとなったほか、水稲の飼料利用を社会に生かすための研究の基礎付けが必要であることを指摘しました。そして、現行施策の課題の析出や、人口減少社会や国民負担を考慮した水田農業施策の方針について提示しました。
なお、本書は、以下の奨学金、個人研究費、共同研究費による研究成果です。独立行政法人日本学生支援機構奨学金、早稲田大学大学院博士後期課程若手研究者養成奨学金(平成26~28年度)、公益財団法人戸部眞紀財団平成28年度奨学金、個人研究費として、全国農業協同組合中央会平成26年度JA研究表彰奨励事業、公益財団法人日本農業研究所平成27年度人文・社会科学系若手研究者助成、一般財団法人農政調査委員会平成27年度「農」シリーズ調査研究事業、公益財団法人松下幸之助記念財団平成27年度研究助成、公益財団法人日本科学協会平成平成28年度笹川科学研究助成、農業問題研究学会平成28年度若手研究者研究助成事業、共同研究費として、早稲田大学重点領域研究機構持続型食・農・バイオ研究所「農学・バイオ・社会科学の融合研究体制を基礎とした持続的な食料供給体系の確立」(所長=天野正博)、ロッテ財団第1回研究助成奨励研究「地域へ再帰する和菓子製造企業」(代表=佐藤奨平)。
書籍情報
書籍名:水稲の飼料利用の展開構造
著 者:小川真如
出版社:日本評論社
doiなど:https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7498.html
 

構成

序章 本書の課題と構成
 第1節 本書の課題
 第2節 本書の研究視座と構成

【第I部 分析枠組み編】
第1章 課題の背景と本研究の視座
 第1節 日本における水田と畜産の展開過程
 第2節 水稲の飼料利用に対する農業経済学的研究の困難さ
 第3節 水稲の飼料利用の分析視座の検討
第2章 既往研究の整理
 第1節 諸分野における研究蓄積とその特質
 第2節 言葉としての「飼料用米」「WCS用稲」「稲WCS」
 第3節 水稲の飼料利用の語られ方
 第4節 小括―既往研究の射程と限界
第3章 本研究の分析枠組み
 第1節 新たな分析枠組みの必要性
 第2節 調査対象地の選定
 第3節 調査対象の選定
 第4節 各章の位置づけ

【第II部 分析編】
第4章 水稲の飼料利用の国際的展開と日本の特異性
 第1節 飼料作物の貿易状況
 第2節 米の飼料利用をめぐる国際比較
 第3節 日本における米の飼料利用の展開構造
 第4節 小括
第5章 日本における水稲の飼料利用の地域特性
 第1節 調査・分析の方法
 第2節 田利用状況の地域差
 第3節 飼料用米・WCS用稲生産の地域差
 第4節 得られた知見と新たな動向
 第5節 水稲の飼料利用の地域特性と事例分析における態度のあり方
第6章 主食用米の作目転換による飼料用水稲の展開構造
 第1節 島根県における飼料用米生産
 第2節 高知県における飼料用米生産
 第3節 主食用米から飼料用水稲への作付転換の展開と財政負担
第7章 農地保全による飼料用水稲生産の展開
 第1節 水田転作を担うJA出資型農業法人における作目選択
 第2節 千葉県香取市における1農事組合法人の事例
 第3節 小括
第8章 中山間地域における耕畜連携と地域農業―中山間地域等直接支払制度と飼料用水稲振興施策に焦点をあてて
 第1節 田・稲作との関係にみる中山間地域等直接支払制度の今日的特徴
 第2節 岩手県一関市上要害地区の事例分析
 第3節 小括
第9章 二毛作地域における飼料用水稲生産の存立構造
 第1節 群馬県二毛作地帯における飼料用水稲生産の存立構造
 第2節 埼玉県二毛作地帯における飼料用水稲生産の持続性の要因と効果
 第3節 佐賀県平坦二毛作地帯における飼料用水稲生産の存立構造
 第4節 新たな二毛作地帯の展開可能性―三重県の事例から
 第5節 二毛作地帯における飼料用水稲の生産とその利用
第10章 多様な特性を内包した地域における水稲の飼料利用と営農システム
 第1節 千葉県香取市の取り組み
 第2節 生産組織および畜産農家の取り組み経緯
 第3節 需給緩和局面における実態と限界

【第III部 総括編】
第11章 本書の結論と残された課題
 第1節 本書の結論
 第2節 本書の限界
 第3節 本書が示唆することと今後の課題
第12章 現行施策の課題と期待される施策
 第1節 現行施策の課題
 第2節 期待される施策と浮き彫りとなる問題
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